月別アーカイブ: 2006年11月

「いつか王子駅で」 堀江 敏幸

「いつか王子駅で」 堀江 敏幸

主人公の視点から、日常を丁寧に切り取った小説です。
雰囲気は、人情が残る昔に感じられるのですが、いくつかの記述から
ほとんど今であると思います。それにもかかわらず、登場人物には
優しさがあり、ゆったりとした時間が流れていきます。

話としては、主人公が飲み屋で知り合いの忘れたカステラを届けようとする、
といった流れがあるのですが、そんなことより雰囲気が大好きになってしまいました。

そして、ゆっくりとした中で一気に緊張感が高まるラスト、そこですぱっと終ることにより、
この世界はまだ続いていくんだなというイメージを受けました。

あんな、平和な日々を送れるのなら自由業ってうらやまし。
(多分違うだろうけど・・・)

「箱崎ジャンクション」藤沢 周 著

「箱崎ジャンクション」藤沢 周 著

別居中で病んでいるタクシードライバーの進展しない退屈な日常。
別会社のタクシードライバーと入れかわったことから、少し振り切るように現状が進展します。

前半3分の一ぐらいは、読んでて気持ち悪くなるような内容でしたが、
入れ替わったあたりから、何でこんな話になるんだ、という感じに
先が気になるようになりました。

前半からは考えにくいけれども、それないにちゃんと終ります。

不可解なものが多数あるところが、作り物感を感じさせないです、