月別アーカイブ: 2006年8月

「夏季限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信

「夏季限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信

「春季限定」の続きです。
前回で垣間見えた小鳩君と小佐内さんの本質が、大分発揮されてきます。
今回は、前回と同じく短編が続く形ですが、それらには夏休みの日々
と、もうひとつ一本つながっているものがあります。

前回の、ほどほど平和だった雰囲気から比べると、大分変わって行ってしまう印象ですが、
それでも、日常の謎もあり、そうでない部分もありで面白く読めます。

これ以降は、どうなるんでしょう?

「春季限定いちごタルト事件」米澤穂信

「春季限定いちごタルト事件」米澤穂信

結構前に丸善で見かけたものの、地元では売ってなくて
出かけた時に、やっとこさ手にいれました。

創元推理文庫なので、ジャンルはミステリ。日常の謎ってやつです。
主役は、目指せ小市民な高校生の小鳩くんと、小佐内さんなのですが、
この人たちは、実は全然小市民じゃない。

日常の謎というと、北村薫の私シリーズが思い浮かぶのですが、
あの場合は、ふと、日常の謎に気が付くものの解けずに、最後に探偵役が
視界を広げてくれる、といった感じで登場人物と一緒になるほどなぁ~となってしまうわけですが、
こちらの場合は、推理したくてしょうがないといったような、爪を隠している主人公なわけで、
同調するよりは、がんばれすごいぞ、って感じになってしまいます。

それはそれとして、読みやすく面白いので、なかなかいいです。

Vista Beta2削除 その後

以前導入してみた、Vista Beta2とりあえず起動しないようにして、
そのままXPを使っていたのですが、ファイルは残ったままでした。
Usersとか、Program Filesとか、Windowsとかのフォルダを置きっぱなしです。
空き容量を確保したくなったので、さっくり消してしまおうと思ったのですが、
なんと、アクセス拒否されて消せません。XPのAdministratorsなユーザーなのに。

原因は、ファイルの所有者が変なことになっているからです。
ファイルのプロパティからセキュリティタブをみると
おそらくVistaのユーザーだと思うのですが、XPからは認識できず
数字のユーザーがファイルを所有しています。
消せないファイルは、このユーザのみがフルコントロール可能になっているためです。

この、不明ユーザーでログインはできないので、いったんXPのAdministratorに
所有者を変更します。セキュリティタブの詳細設定ボタンから、所有者のタブを選びます。
そして、Administratorを選択して、OKします。見た目は変わりませんが、設定はされていますので、
OKを押して、詳細設定も、ファイルのプロパティもいったん閉じてください。

再びファイルのプロパティを開くと、所有者が変更されていて、XPのAdministratorで、
フルコントロールをとることができるようになっています。フルコントロールにチェックをつけられれば
ファイルを削除することもできます。

面倒ですが、ちまちまとやっていくしかないようです。
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「秋の猫」 藤堂志津子

「秋の猫」 藤堂志津子

短編集です。
表題どおり、犬や猫を小道具に使った男女の交流が5編です。
あったかかったり、冷えているようで相手想いだったり、酷い当たりようだったり、
いろいろあります。
登場人物の気持ちを追うための情報は、十分であるけれど、
心の動きが何から何まで書かれているわけではないので、
想像の余地がある、というか気持ちを込めて考えさせられます。

内容とは一切関係ないですが、帯に蛍光灯の宣伝がくっついていました。
「文庫を読むなら、目にやさしい明るさで」ってことで、うまい。

「鬼哭の剣 」 北方謙三

「鬼哭の剣 」 北方謙三

剣豪小説、シリーズの4作目です。
今までの日向景一郎から、日向森之助へ主役が移っています。
森之助の成長物語になっています。といっても、最初から常人離れしていますが。

 そんな変化がありつつも、いつもと変わらない面白さと読みやすさです。
隠れた陰謀があり、自分の道を行く日向兄弟であり、立会いと真っ二つです。
読んだこと無い人は、シリーズ始めの風樹の剣から読むことをお勧めします。

「ZOO」1、2 乙一

「ZOO」1、2 乙一

短編集。文庫だと、ZOO1とZOO2の二つに分かれています。

いろいろ入ってますが、どの作品も、そうきたか、と思わせる
設定とひねりがきています。うまいです。

が、登場人物が惨殺されたり、腐敗したりそのほかいろいろ
ダークなものが多いのが気になります。
そうきたか、のインパクトはこの設定傾向から来ているんじゃないかと
思ってしまうほどでした。

そのあたりが、いまいち受け付けられないので、
個人的にはがっかり。読後感が悪いです。

もちろん、それ以外にしんみりしたりする要素も
たぶんに含まれているので、少しダークでも
平気な人は読んでみるといいと思います。

「重力ピエロ」伊坂幸太郎

「重力ピエロ」 伊坂 幸太郎 著

連続放火事件とグラフィティ、そして遺伝子の関係から
真実を追いかける兄と、父、そして様子がおかしい弟。
そこには、過去とのつながりが・・・

って感じですが、面白かったような気がする本でした。
基本的に会話文が多いです。それがかっこつけたような映画のようなやり取りで
読んでいて気持ち言いのですが、物語自体は、この厚みはいらないんじゃないかという感じです。

また、やりとりに普通さがなくて、主人公以外の感情が読みにくい。みんな演技をしてる
役者のように感じてしまい、物足りなかったです。

このあたりから、読んでいるときはすいすい進んで面白いのだけれど、
後から思い返してもいまいち何も残ってないような気がしてしまいました。

「超人計画」滝本竜彦

「超人計画」滝本竜彦

小説家と思って買ったら、エッセイでした。
超人になるための、日々のいろいろということかな。
ネット中毒気味になったり、ろうそく立てて瞑想したり、薬でトリップしちゃったり
かなり痛い本です。

(たぶん)脚色なんでしょうけど、著者のたどる思考の軌跡が
かなり問題ありです。テンションが低いとこうなってしまうような気もちょっとしますが。

そうやって、痛い日々をすごして結果としてはいまいち実らなかった超人計画ですが、
文庫版あとがきのたった一行ですべてひっくり返ってます。目的達成できた模様です。

面白いような、面白くないような。
リアルNHKへようこそです。

「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」北尾トロ

「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」 北尾 トロ 著

面白そうだからってだけで、買った1冊。
とりあえず、裁判傍聴へ向かう筆者が、最初は不謹慎に思えましたが、
だんだん慣れてきます。
非日常の裁判風景が、思ったままのような文章で垣間見ることができ
新鮮ではあります。

残念なのは、筆者が傍聴したときの感想のみであるため、(章ごとに少しフォローはあるが)
事件の背景や、人間関係が見えづらく、考えるようなことが少ないということでしょうか。

非日常かつ、その中でも面白い事象を横目で眺めていくような本です。