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「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック

「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック

映画「ブレードランナー」の原作ということで、有名な本。
タイトルだけ見るとわけわかりません。表紙裏の原題もこんな感じなので
翻訳でおかしくなったわけではなし。

戦争後の世界は黄昏時で、本物の動物が貴重になっています。
電気羊というのは、文字通り代替のロボットのことです。

あらすじとしては、主人公の賞金稼ぎがアンドロイドを始末していく、だけなのですが
途中にはいろいろあるわけです。

精巧にできたアンドロイドと人間との差、アンドロイドは他者に感情移入ができるのか?

この辺の結論を書いてしまうと、そのままネタばれなのでかけませんが、
SFでありつつ、やや哲学的です。

「ある日、爆弾がおちてきて」 古橋 秀之

「ある日、爆弾がおちてきて」 古橋 秀之 著

7編の短編集で、どれも少し変わったボーイミーツガールもの。
ハッピーだったり、救われなかったり、このあとどうするの?ってのもあっていろいろです。
読後感良好なので、○。

あとがきで、どれもタイムトラベルもののバリエーションと作者が解説していますが・・・
ほかにも、いろいろ細かいところにネタが仕込んであるようです。
Google先生に聞くとわかるかも。

「いちばん初めにあった海」加納朋子

「いちばん初めにあった海」 加納 朋子 著

綺麗にまとまってる、と思ったのが読み終わったときの感想でした。

本の紹介には、傷ついた女性の再生の物語、とあります。
全部読み終わった今としては、なるほどと思えますが、
初めて読む際には、謎の隠し方、構成のうまさに感心するのではないかと思います。

色々あるのですが、書いてしまうと、楽しみを奪ってしまいそうなので、
面白かった、そして、ちょっと悲しい、と思ったことだけ書いておくことにします。
これじゃ何だか分からないですけど。

「東京原発」山川 元

「東京原発」山川 元 著

都知事が、「東京に原発を誘致する!」と意気込むところからはじまる、喧喧囂囂の
議論劇+αで秘密のプルトニウム輸送のどたばたです。
一見コメディー(三谷幸喜的)ですが、実際は結構真面目な話がなされています。
特に、原発のやばさについて。
多だ単にお話とだけ見ると、会議ばっかりでちょっと弱いかなーと思います。
過程の話ばかりで事態は進行しない辺りが特に。
原発に関する反対意見を知ると言うところをプラスすると
なかなか良いです。物知りになった気になれます。

で、実際のところはどうなんだろう・・・

「さいえんす?」東野 圭吾

「さいえんす?」東野 圭吾

だいぶ笑わせてもらった、「あの頃ぼくらはアホでした」のようなエッセイかと思ったら、
結構真面目な内容でした。連載物のせいか、話題がよく変わり、サイエンスでは無いときもあるのですが
なんにしても結構興味深く読めます。

著者は、技術によるトリックの変遷から、野球のペナントレースの改善など、色々なことに、色々考えてるのを読むと、なんでも考えずに流していてはいけないなと感じます。

「1980 アイコ 十六歳」 堀田あけみ

「1980 アイコ 十六歳」 堀田 あけみ 著

ちょっと昔(多分タイトルどおりの1980)の女子高生三田アイコの
夏から冬までの、にぎやかかつ悩み多い学園生活が描かれています。

作品中で、アイコは結構色々悩むのですが、その描き方が、
思考をそのまま書き付けているようで、追いかけやすい。
皆がいろいろ考えてるのだと、共感しやすくなっています。

しかし、この作品で一番印象深いのは、新装版へ向けてのあとがきでした。
最初のあとがきから25年後、19歳の時のあとがきから、一気に時間を飛び越える感覚。
全てが一気に過去になり、流れた時間を思わせます。
映画のラストで、現実に戻る(スタンドバイミーのような)感覚です。

ストーリーは、無いのだけれど、読後感はとても良い。

「スラムオンライン」 桜坂 洋

「スラムオンライン」 桜坂 洋 著

(架空の)MMO格闘ゲームジャンキーの、ゲームにささげる青春?なんだと思う。
リアルな世界に割り振るリソースを削り取って、ゲームの世界へつぎ込む。
はまっている、というか廃人寸前の主人公が、バーチャルで求めるものとは?
見たいな感じなんだろうか。
テーマがそれなら、現実世界の布美子さんの話は蛇足なのでは?とも一瞬思ったが、
そうなると、主人公の坂上君がリアルに帰ってこなくなるのでダメか。
といううより、対比することでバーチャルにどれだけ思いを懸けてるかが協調されてるのですね。

でも、あんなに現実うまくいかないような。

「リレキショ」中村航

「リレキショ」 中村 航 著

”姉さん”に拾われてきた”僕”の物語です。
タイトルのリレキショとは、履歴書のことで、拾われてきた後の”僕”の
拾われてからの履歴書のことです。

僕の過去もわからないし”姉さん”も良く分からない。
いろいろなことがはっきりしないまま、
小さな世界の話が進行していきます。

細かいことを気にする人は、気持ちよく読めないかもしれません。
浸れる人なら、楽にすっきり読めると思います。

とりあえずは、素晴らしき、ウルシバラワールド。

「トワイライト」重松清

「トワイライト」 重松 清 著

小学生のころに埋めたタイムカプセルの開封に集まった、
40近くの元、子供の物語です。

昔、夢いっぱいだった21世紀、大阪万博が見せてくれた未来と、
未来を喪失してしまった現実。
昔夢見ていたものとは違う未来を、しんどく生きている人たちの
喪失と、ささやかな希望の物語です。

この作者の書く中年は、いつも何かを失って、失望して
それでも、少し希望を見つけて生きていくと言った感じです。
全然ヒーローじゃなく、一般の人です。
そういう人が挫折を乗り越えていくからこそ、感情移入して
読めるのだろうなと思います。

音楽が無くても、気持が揺れることもあります。

「真夏の風船」 白井 かなこ

「真夏の風船」 白井 かなこ 著

ミヤは、結婚式の当日熱をだしてしまい、ふと昔を思い出します。
前日に仲違いをしてしまった新郎と出会った頃のことを・・・

昔を懐かしむという構成が気に入って、購入してしまいました。
いろいろなことがあった学生時代、今の新郎と出会うまで。
青春時代の出来事が、つづられていきます。
こういった内容の本は、基本的に好きなのですが、
この本は、あまりにも色々な要素が入りすぎてて、かつ個々の扱いは薄いのが気になります。
また、人間関係など結構ご都合主義的にまとまってしまいます。

そういうところが気になってしまうのでいまいち。

#読み終わってから気がつきましたが講談社F文庫と言うらしい。
#私はだいぶ対象読者層から外れてるような気がします。